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執筆者の写真じょ〜じ

イエスの風 No,53

更新日:2019年12月7日


 受難節が始まりました。復活祭までの間、イエス様の受難の道を追体験するように過ごします。イエス様の受難…、それは一体どう言う意味を持っていたのでしょう。苦しむ訳は、一体何だったのでしょうか。昨日から、そんなことを思い巡らしながら過ごしています。

 闇雲に苦しみを負うことは、苦しみに、苦しみを増し加えるだけです。人は、苦しみの中で、その意味を問います。その苦しみには、意味があると言うことを知る時に、暗闇だと思っていた中に、微かな光が見えてくるように思うのです。

 苦しみの中にあるあなたにも、微かな灯火が輝いています。イエス様が共におられます。今週も支えられますように。

 主は、あなたと共におられます。主は、あなたにこう言われます。「あなたは、わたしの愛する子。わたしは、あなたを喜ぶ。わたしは、決してあなたを離れず、また、あなたを捨てない。安心して行きなさい。」


ルカによる福音6章27〜38節「祝福に生きる〜憎しみを越えて〜」


 ある晩、夢の中で喧嘩した…。どうも気が合わないと言うか、お互いに一緒に居るのが辛い人が居て…。どうしても赦せない人が居て…。憎らしいと思う人が居て…。嫌な思いさせられて、傷ついた心が遂に爆発した…。夢の中で…。目が覚めると、ドキドキして、どっぷり疲れ果てていた。

 人を憎んで生きる、赦さない…、それは辛いこと。人生楽しめない。喜び、感謝することから遠のいて行く。悪い毒にうなされるように、呼吸が速くなり、頭の中がカッカと燃え上がり、歯を食いしばり、肩に力が入り…。怒りに振り回されて疲れ果ててしまう。憎しみは、大切ないのちの時間を磨り減らしてしまう…。せっかくいただいた一日を苦い思いに囚われ、無駄にしてしまうのです。

 私たちの周りでは、憎しみ、怒り、争い、暴力が普通です…。気が付いているだろうか。私たちが日々耳にする言葉、目にする出来事の中に溢れているものに…。憎しみ、怒り、争い、暴力を見ない日、聞かない日は無い…。大きな流れのように私たちを取り囲み、呑み込み、押し流している…。

 イエス様の弟子として生きることは、大きな流れに逆らって生きること。周りの人と違う、特殊な生き方をする…。変わり者になること。

「しかし、これを聞いているあなたがたに、わたしは言います。あなたがたの敵を愛しなさい。あなたがたを憎む者たちに善を行いなさい。あなたがたを呪う者たちを祝福しなさい。あなたがたを侮辱する者たちのために祈りなさい。」(27、28)

 イエス様は、いつも無理難題を私たちに言われる…。イエス様の言葉は、時に私たちを混乱させ、心を揺さぶり、平安を掻き乱し、嵐を引き起こす…。

「あなたがたの敵を愛しなさい。」 

 私たちの敵…。私たちを非難し、虐める人たち。傷つけ、脅す人たち。辱め、大切なものを奪い取ろうとする人たち…。愛して、善いことをし、祝福して祈る…。信じられないことを言う。誰がそんなことを納得するのか…。普通じゃない、いやむしろ異常だ…。誰もがそう言うはずだ。

 イエス様の言っていることが理解出来るだろうか…。イエス様は、敵を前にして、逃げるように言わない。憎む者を辛抱し、呪う者を無視し、侮辱する者にへつらうように言わない。闘えと言う。抵抗しろ、負けるなと言う。立ち上がれという…。

 イエス様は、この世界を覆い尽くそうとしている悪の闇、憎しみと暴力、呪いと恐れの闇を打ち破り、人の心に棲みついた罪の汚れを一掃するために天から降り、来られた。この世界を神の国にしようと立ち上がられた。

 神の国は、愛の国。私たちが愛に生きる世界。イエス様は、私たちに言われた。この世界を神の国にするために。「あなたがたの敵を愛しなさい」

 イエス様は、私たちに新しい生き方を教えておられる。神の国に生きることを教えている。私たちを神の国に招いている…。私たちは、神の国に生きるのに、死を待つ必要は無い。今日、今ここで始めることが出来る。あなたの家、職場、学校…、あなたの生活、人生に始めることが出来る。「あなたがたの敵を愛しなさい」

 でも、それはいのちがけのこと。敵を愛することは至難の業…。それをしようとすると激しい抵抗が起こる…。他でもない、私たち自身の中から激しい抵抗が始まる。私たちの魂が格闘を始める。心の中に葛藤が生まれ、悩み始める…。けれど、その悩みや葛藤は、ただの悩みや葛藤では無い。その格闘は、イエス様があなたに迫り、語りかけておられる証し。神様が、あなたを神の子にしようと働きかけておられる証しです。

 この世界で神の子は、愛故に葛藤し、悩み、格闘するのです。父である神様は、私たちを神の子にしようとしている。この世界を神の国しようとしている。

 神様は、愛。神様は、私たちに愛を問われる。神様との出会い、それは愛を問われること…。愛を問われるとき、確かに私たちは神様と出会っている。神様があなたに近づいておられる。

 あなたが愛に葛藤し、悩む、それは尊いこと。そこで何が起こっているのだろう。イエス様は言われる。「あなたがたは、いと高き方の子どもになります。」(35)そう、あなたは、神の子になっている(ヨハネ1:12)。愛する故に、人を赦し、祝福を祈るために、悩み苦しむ時、あなたは神の子になっている。あなたが愛に苦しむ時、想い出しなさい。ゲツセマネの園で悶え苦しみ、血の汗を流し祈られた方のことを…。十字架につけられた時、「父よ。彼らをお赦し下さい。彼らは自分で何をしているのか分からないでいるのです。」と祈られた方。イエス様は、十字架について下さった。あなたの中で、愛すること、赦すこと、祝福し祈ることを拒み続け、抵抗する罪を洗いきよめるために。そして、よみがえって、今日あなたに新しいいのちを与えて下さる。新しい人生を始めて下さる。

「あなたがたの敵を愛しなさい」これが新しいいのち、新しい人生。イエス様が、あなたの内に始めて下さった神の子の祝福…。

 あなたの内に神の国が始まっている。イエス様が、いのちとなって、愛となってお住みになる。あなたは、父なる神様の憐れみを知る者になった。父なる神様の子…。あなたは、神の子です。これからもずっと…。あなたは、神の子になるために呼ばれ、今日導かれ、生きている。

 父なる神様は、あなたに憐れみ深い…。敵を愛する愛、憎む者に善を行い、呪う者を祝福し、侮辱する者のために祈る愛で、あなたを愛している。あなたに愛を注ぎ、愛する力を与える。あなたの居る所を神の国、愛の国にしようとしている。

 「あなたがたの敵を愛しなさい」

 イエス様は、とんでもないことを言う。世界がひっくり返るようなことを…。でも、イエス様は、この世界をひっくり返して来られた。イエス様の言葉は生きている。今もこの言葉で世界をひっくり返している。愛は、力。富や権力に勝る力。この世界を動かし、変える力。憎しみや暴力、あらゆる人の罪を滅ぼす力。世界を神の国に変える、神の力。イエス様は、今日あなたの愛となって生きておられるのです。

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